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◎地方公共団体におけるPFI事業について
(3月29日、自治事務次官)
第1 総括的事項
1 PFI法は、平成11年9月24日に施行され、同法第4条第1項に基づき、内閣総理大臣が、平成12年3月13日、別添のとおり基本方針を定めたところであること。
基本方針は、国(特殊法人その他の公共法人を含む。)が公共施設等の管理者等として行うPFI事業について主として定めたものであり、地方公共団体については、本基本方針の定めるところを参考として、PFI事業の円滑な実施の促進に努めるものとされていること。
2 以下、本通知において、次の用語は、それぞれ下記のとおりとする。
(1) PFI事業 地方公共団体がPFI法第5条第1項の実施方針を定めて実施するPFI法第2条第4項に定める「選定事業」をいう。
(2) PFI事業者 PFI法第7条第1項の規定によりPFI事業を実施する者として選定された者をいう。
(3) PFI契約 地方公共団体とPFI事業者の間で締結される、PFI事業に係る契約をいう(PFI法第9条に定める議会の議決が必要な契約にあっては、これを経たものに限る。)
(4) 政府調達協定 1994年4月15日マラケシュで作成された政府調達に関する協定をいう。
(5) 特例政令 地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(平成7年政令第372号)をいう。
3 PFI法第9条及び民間資金等の活用による公共施設等の整備の促進に関する法律施行令に定めるとおり、以下のPFI契約については、あらかじめ議会の議決を経なければならないこと。これは、地方自治法第96条第1項第5号に定める議会の議決との均衡を考慮するとともに、PFI事業に係る将来の財政負担等を議会においてチェックする趣旨であること。また、この場合における金額は、PFI契約の予定価格の金額のうち維持管理、運営等に要する金額を除いた金額により判断するものであること。
法第二条第五項に規定する選定事業者が建設する同条第一項に規定する公共施設等(地方公共団体の経営する企業で地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第四十条第一項の規定の適用があるものの業務に関するものを除く。)の買入れ又は借入れ | 千円 都道府県 500,000 |
地方自治法(昭和二十二年 法律第六十七号)第二百五 十二条の十九第一項に規定 する指定都市(以下この表に おいて「指定都市」という。) 300,000 |
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市 (指定都市を除く。) 150,000 | |
町村 50,000 |
4 PFI法が、いわゆる第三セクターの抱える諸課題等を考慮のうえ立法された経緯も踏まえ、PFI契約において、PFI事業者とのリスクの分担(PFI事業の継続が困難になった場合の措置を含む。以下同じ。)を明確にしておくとともに、PFI事業者に対する安易な出資及び損失補償は、厳に慎むこと。
5 自治省は大臣官房企画室を窓口として相談に応じることとしているので、PFI事業の実施を検討している地方公共団体は積極的に相談すること。また、(財)地域総合整備財団において、平成12年度からPFIアドバイザーの派遣、PFI研修会、民間事業者との意見交換会を実施することとしているほか、相談窓口を設置することとしているので、適宜活用を図ること。
なお、PFI事業に対する貸付であって現行のふるさと融資の要件を満たすものについては、これを対象とするものであること。詳細は(財)地域総合整備財団に照会すること。
第2 PFI事業に係る債務負担行為の位置付け
PFI法に基づいて公共施設等の整備を行うために設定される債務負担行為は、効率的かつ効果的な公共施設等の整備のために設定されるものであり、「もっぱら財源調達の手段として設定する債務負担行為」(「債務負担行為の運用について」(昭和47年9月30日付け自治導第139号)に該当するものではないと解されること。
しかしながら、この場合においても財政の健全性を確保する必要があるので、PFI事業における債務負担行為に係る支出のうち、施設整備費や用地取得費に相当するもの等公債費に準ずるものを起債制限比率の計算の対象とするものであること。
第3 PFI事業に係る地方財政措置
PFI事業のうち1の要件を満たすものに係る施設整備費について、地方公共団体がPFI事業者に対して財政的支出を行う場合、2の財政措置を講じること。なお、具体的内容については「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)に基づいて地方公共団体が実施する事業に係る地方財政措置について」(平成12年3月29日付け自治省財政局長通知)を参照すること。
1 要件
ア 当該施設の所有権が一定期間経過後に地方公共団体に移転(当該施設の整備後直ちに移転する場合を含む。)するもの又はPFI契約が当該施設の耐用年数と同程度の期間継続するものであること。
イ 通常当該施設を地方公共団体が整備した場合に国庫補助負担制度がある事業については、PFI事業で整備する場合にも同等の措置が講じられるものであること。
2 財政措置の内容
ア 国庫補助負担金が支出される事業
当該国庫補助負担金の内容に応じて、地方公共団体が直接整備する場合と同等の地方債措置又は地方交付税措置を講じること。
イ 地方単独事業として実施されるPFI事業
地方公共団体が直接整備する場合に施設の種別に応じた財政措置の仕組みがある施設については当該措置内容に準じて、そのような財政措置の仕組みがない施設(公共性が高く、かつ非収益的な施設で一定の要件を満たすものに限る。)については一定の範囲で、地方交付税措置を講じること。
第4 税制上の措置
(1) PFI事業者がPFI事業の用に供する土地については、特別土地保有税の非課税措置が講じられていること。(地方税法第586条第2項第1号の27)
(2) PFI事業者が港湾法に規定する無利子貸付けを受けてPFI事業として整備する特定用途港湾施設のうち一定のものについて、平成12年度税制改正により固定資産税の課税標準の特例措置が講じられていること。(地方税法附則第15条第51項)
第5 契約関係
1 契約の相手方の選定方法の原則(一般競争入札)
総合評価一般競争入札の活用等
PFI事業者の選定方法は、公募の方法等によることとされており(PFI法第7条第1項)、一般競争入札によることが原則とされていること。
この場合において、PFI契約においては、価格のみならず、維持管理又は運営の水準、PFI事業者とのリスク分担のあり方、技術的能力、企画に関する能力等を総合的に勘案する必要があることにかんがみ、総合評価一般競争入札(地方自治法施行令第167条の10の2)の活用を図ること。
この際、あらかじめ学識経験者の意見を聴き、落札者決定基準を適切に定め、公表すること等、所定の手続について十分留意すること。(「地方自治法施行令の一部を改正する政令の施行について」(平成11年2月17日付け自治行第3号自治事務次官通知)を参照のこと。)
2 随意契約による場合の留意点
上記1によらず、随意契約の方法によるためには、地方自治法施行令第167条の2第1項各号に該当することを要すること。この場合において、以下の点に留意すること。
(1) 地方自治法第167条の2第1項第2号「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」については、普通地方公共団体において当該契約の目的、内容に照らしそれに相応する資力、信用、技術、経験等を有する相手方を選定しその者との間で契約の締結をするという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を究極的に達成する上で妥当であり、ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合もこれに当たると解されているところであり(別紙昭和62年3月20日最高裁第2小法廷判決参照)、PFI契約についてもこれを踏まえて適切に判断するものであること。
(2) 同条第5号「時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見こみのあるとき」とは、相手方が多量のストックをかかえ売り込む意欲が強い場合等、相手方が特殊な地位に立っている場合が該当するものとされていること。この場合において、同号の「著しく有利な価格」とは、一般的には、品質、性能等が他の物件と比較して問題がなく、かつ、予定価格(時価を基準としたもの)から勘案しても、競争入札に付した場合より誰が見てもはるかに有利な価格で契約できるときと解されており、したがって、当該地方公共団体が当該公共施設等を整備すると仮定する場合の価格と当該相手方の価格を比較するとともに、一般的なPFI事業者がPFI方式で整備すると仮定した場合の標準的な価格と比較し、著しく有利であるか否かにより判断するものであること。
3 政府調達協定の適用を受けるPFI契約のついての留意点
(1) PFI契約は、公共施設等の建設のみならず、維持管理及び運営をも内容とするものであり、このため、政府調達協定対象の役務と対象外の役務の双方を包含する混合的な契約となりうるものであること。
こうした混合的な契約においては、主目的である調達に着目し、全体を当該主目的に係る調達として扱うこととされており、主目的が物品等又は協定の対象である役務の調達契約であって、当該契約の全体の予定価格(主目的以外の物品等および役務に係る価額を含む。)が適用基準額を超える場合に、特例政令の適用を受けることとされているので、都道府県及び指定都市においては留意すること。(「地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令の公布について」平成7年11月1日付け自治行第84号行政課長通知参照)。
(2) 特例政令第10条本文において引用する地方自治法施行令第167条の2第1項第3号の「緊急の必要」とは、例えば、災害時において一般競争入札又は指名競争入札の方法による手続をとるときは、その時期を失し、あるいは全く契約の目的を達することができなくなり、経済上はなはだしく不利益を被るに至るような場合を想定していること。
(3) 特例政令第10条第1項第6号は、設計契約について随意契約によることができるとしているものであり、建設、維持管理、運営等、設計以外の内容を一体的に含むPFI契約は、その対象ではないものと解されること。
4 その他
(1) PFI契約の相手方の決定の手続に際しては、特定目的会社に対する出資予定者等により構成される。法人格の無い共同企業体の形式で参加し、PFIの選定事業者となった後に、初めて法人格を持った特定目的会社を設立して、地方公共団体との間でPFI契約を締結することも差し支えないこと。
(2) 民間事業者による発案が可能とされている(PFI法第4条第2項第1号)が、提案を行った民間事業者を相手方として、随意契約によるPFI契約を締結するためには、地方自治法施行令第167条の2第1項各号(政府調達協定の適用を受ける場合においては、特例政令第10条第1項各号)に該当する必要があること。
(3) PFI契約の相手方となる民間事業者の選定手続に参加した民間事業者に対し、一定のコンペ料等を支払うことをさまたげるものでないこと。
第6 公の施設関係
1 PFI事業により公の施設を整備しようとする場合にあっては、施設の設置及びその管理に関する事項等については条例でこれを定めるものであること。
2 地方自治法第244条の2第3項に規定する公の施設の管理受託者の要件を満たさない民間事業者に対しても、例えば下記の諸業務をPFI事業として行わせることは可能であり、かつ一つの民間事業者に対してこれらの業務を包括的にPFI事業として行わせることも可能であること。
① 下記のような事実上の業務
・施設の維持補修等のメンテナンス
・警備
・施設の清掃
・展示物の維持補修
・エレベーターの運転
・植栽の管理
② 管理責任や処分権限を地方公共団体に留保した上で、管理や処分の方法についてあらかじめ地方公共団体が設定した基準に従って行なわれる下記のような定型的行為
・入場券の検認
・利用申込書の受理
・利用許可書の交付
③ 私人の公金取扱いの規定(地方自治法第243条、同法施行令第158条)に基づく使用料等の収入の徴収
④ 当該施設運営に係るソフト面の企画
3 地方自治法第244条の2第3項に規定する公の施設の管理受託者の要件を満たさない民間事業者については、当該公の施設の利用に係る料金を当該民間事業者の収入として収受させることおよび当該料金を当該民間事業者が定めることとすることはできないこと。
(地方自治法第244条の2第4項、第5項)。
第7 公有財産関係その他
(1) PFI事業により公有地上に公共施設等を整備する場合には、下記の事項について留意すること。
① 当該施設の所有権が当該施設の整備後直ちに地方公共団体に移転し、供用される場合には、当該施設の用地は行政財産として位置づけられるものであること。
② 当該施設の所有権が一定期間経過後に地方公共団体に移転する場合であって、当該期間中、PFI事業者に対して用地を貸し付けるときは、普通財産として貸し付けるものであること。この場合、最終的に当該施設の所有権が当該地方公共団体に移転し、その行政財産になる時点において、当該施設の用地も、普通財産から行政財産に切り替える必要があること。
(2) 公共施設と民間施設を一体で整備するPFI事業の場合、所有権がそれぞれ移転する際に、行政財産の合築に関する規定(地方自治法第238条の4第2項、同法施行令第169条及び第169条の2)の適用について留意すること。